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特に、生産設備など、産業用途で使用する場合には、通常は専用コントローラとセットで購入します。 専用コントローラを用いる利点は
右図にモータコントローラの概略を示します。一般に以下のような配線があります(図中の太線は電力を流す=電流の多い=物理的に太い線)。
コンピュータ制御で動作を細かく制御したりする場合は、パルス列による指令とエンコーダ出力による実角度の検出が必要になります。ただ、ソフトウエアでこれを行うことは負荷が高いため、一般に専用回路(パルス出力~高級品はモーションコントローラ、カウンタ)を用意します。マイコンの場合は内蔵している物を選びます。
なお、アナログ端子以外は電気的に絶縁されていることが多く、なにかとノイズトラブルの要因になりやすい電力系と、制御系を電気的に切り離せるようになっています。
アクチュエータ | → | 減速 動作の変換(リンク、カム) |
→ | 目的とする動作 |
アクチュエータの動力[W] (アクチュエータの電力[W]) |
← | 変換効率を加味 | ← | 実際の動力 |
↓ | ↑ | |||
選 定 | 速度[m/s]×力[N] 角速度[rad/s]×トルク[Nm] ※[W]=[Nm/s] |
まず、全体の流れを見てみます。
目的とする動きはロボットの仕様によって既に決定されています。
ここで着目するのは動力[W]です。力学の式で
このアクチュエータに要求されるトルクから、モータメーカのカタログを参照して、モータの選定を行う。
出力:ロボットの仕様(回転関節、直動装置、車輪など)
減速比計算:
まず、減速機・運動変換機構で着目すべき特性は以下のような物があります。
減速比:歯数の比。かなり自由に選定できる。一段で1/3程度が実用的=多段にすることが多い
減速比:内歯車、遊星歯車、太陽歯車の歯数で決まる。
効率:一般に高
減速比:構造による。1/100などの減速が1段でできる。
減速比:歯数の比。一段で1/3程度が限度。また、特殊な形状の歯車でセットで買うものであり、減速比の選択の余地はほとんど無い(1/1, 1/2, 1/3などの単純比のみ)
減速比:ウォームの条数(溝の本数、1回転あたりの歯の進み)とホイールの歯数で決まる
減速比:非線形(三角関数や√が入る)
速度比:リード[mm]は1回転当たりの移動量。なので、(リード/2π)[mm/rad]を用いる。
速度比:リード[mm]は1回転当たりの移動量。なので、(リード/2π)[mm/rad]を用いる。
減速比:回転同士ならプーリの歯数比、直動ならプーリの歯数とベルトのピッチで決まる
ついで、モータのスペックを確認し、定格回転数から、減速系・直動変換機構にもとめられる減速比を計算してみましょう。
電力などのエネルギー源が、アクチュエータで機械的な運動に変換されます。
これを減速機や機構によって、目的の動きに変換します。
多くの場合、アクチュエータには回転モータを使うので、直動が必要なら直動変換が必要です。
また、多くのモータが「回転は速いけど、トルクが小さめ」なのに対して、ロボットメカトロ用途(たとえばマニピュレータなど)では「回転はほどほどでいいけど、大きなトルクが必要」という場合が多々あります。
これらのミスマッチを解消するために、モータの仕様(トルク・回転数(角速度))出力を、目的とする仕様に変換するために、減速機や運動変換のための機構を用います。
に示すように、
となります。
なお、減速比は(1/n)のような分数型と(a:b)のような比率型の表示があります。また、同じ数値で減速比nと表示されることもあり、注意が必要です(「減速機」と断言されていれば、どの表記でも間違わないのですが)。
です。効率が100%なら、減速機で速度は1/nに、力がn倍になります。そのため、速度やトルクが変化しても、この動力は変化しません。
目的とする動作から動力を計算すれば、アクチュエータに要求される動力に目安ができます。
上図に示すように、モータの出力動力は、動力伝達機構の効率だけ目減りして、最終的な動力となる。
そのため「目的の出力÷伝達系の効率」によって、必要なアクチュエータ出力が求まる。
目的の出力は「力×速さ」「トルク×角速度」で得られ、これはすべてロボットの仕様から決められている。
ただし、ここで「メカの効率」は未知であり、何らかの仮定を置いて計算してみる必要がある(平歯車なら8割、減速比の大きい場合は5割など、摩擦の大きそうなものは効率が下がりがち)。
カタログ例:
なお、アクチュエータ自身にも電力との変換効率があるが、一般にモータの性能での「出力○○[W]」は変換効率込みの、出力軸の動力の最大値である。
また、モータのトルクなどの数値には「定格」と「絶対(定格)」という2種類の数値が記載されていることがあり、後者は数割増しになっている。定格は連続運転する場合に守るべき上限値で、絶対は短時間には出すことのできるトルク・回転速度を表している(火事場のバカ力的)。間欠運転でなければ、原則として定格で選定すべきである。
減速比の決定のため、速度比を計算する。
入力:モータの定格回転数(or最大回転数)
[rpm]→÷60→[rps]→×2π→[rad/s]
※rpm:revolution per minute、一般にモータの回転はrpmで書かれる
※rps:revolution per second、計算用に途中に置いた単位
[rad/s] or [mm/s]
回転関節:そのまま[rad/s]で設計
車輪:速度÷半径 (v=rω, ω=v/r)
直動:移動速度
回転の場合:
直動の場合:
減速系の選定にあたっては、後述のような減速機の代表的特性を考えながら、選定を行う。
特に、直動出力とする場合は、直動部分を一番最初に決定する(直動に直した後に直動VS直動での減速は(コンパクトには)難しいため)。
モータと直動機構(ネジ、ベルト)を直結できる場合もあるが、別途減速が必要な場合は、直動部分を定めてそこの決定後に、残った速度比を回転の減速系で設定する。
以上の選定のモータと減速系の組み合わせにおいて、
を再確認する。なお、モータのスペックは、トルクの単位が[mNm](ミリ・ニュートンメートル)であったり、定格速度が[rpm]であったりするので、単位には十分注意すること。
(以前はkg-cm表記が多かったが)
回転←→回転、回転←→直動、など(直動←→直動は実用的にはあまり使われない)
回転数比 例:1/10
直動機構 例:5mm/rev (5mm/2πrad)
上述の効率。一般に入力軸→出力軸の効率。ものによっては出力→入力の効率もある。
軸のなす角 平行 直角 軸と軸
の距離ゼロ 同軸 直交軸(軸直交) 非ゼロ 平行軸 ねじれ軸
一般に、軸のなす角が直角以外の半端な角度になることはまれ。
当然ながら、小さいメカ、樹脂製のメカなどは小さな力で壊れやすい。
そのため、どのくらいのトルク、どのくらいの動力(トルクと定格入力回転速度など)に耐えられるかは、減速機の大きさを決定づける。平歯車の場合は、歯面強度などの形で規定される場合もあり。
バックラッシは平歯車など機構によっては不可欠とされるが、出力軸の位置決め精度の低下になるほか、入力軸の回転方向の反転が、出力軸に伝わるまでの時間差として現れるため制御上の問題(遅れ)となる場合が多い。
ただし、常に一方向に回転する用途であれば、問題ない。
※もとがbacklashで「バックラッシュ」とも言われるが、専門的には「バックラッシ」が主流。
減速機は、入力軸を回した結果として出力軸が動くが、逆に、出力軸を動かそうとして入力軸が動くかどうかを表す。「バックドライバビリティがある/ない」という。
逆可動性がある場合、電源が切れている状態で装置を外力で動かすことができるため、事故や不具合時に役立つ場合がある。また、研究用ロボットでは重要とされる。
一方、逆可動性が無い場合は、電源が切れたときに動かない。なにかを昇降させる装置などでは保護に役立つ(場合によっては、逆可動性あり+電磁ブレーキがよい)。
以下で紹介する伝導系は、入力と出力の関係が時間と供にずれていくことはないが(摩擦伝導やベルト駆動ではすべりでずれる)、細かく見れば、歯車の歯面の精度などで、本来の入力軸と出力軸の理想的な伝達関係からの進み遅れが生じている場合がある。
装置の精度に影響しうるほか、入力軸を一定速度で回しても出力軸の速度がわずかに変動するため、振動を起こす原因にもなりうる。
なお、精度は減速と供に圧縮される。そのため、問題になるのは出力に近い箇所での精度である。
一般的に、構造が複雑なもの(≒複雑にしてもその性能の価値があるもの)は高価であり、適材適所で不必要に高価な機構を設計すべきではない。
おおむね、以上のようなポイントに着目して、以下、代表的な伝達機構を列挙します。
平歯車
減速装置の代表的なもの。
効率:高
軸:平行軸。2段で同軸にできる。
バックラッシ:有
逆可動性:有(段数が少ないとかなり高い)
遊星歯車減速機
平歯車よりも減速比は高めで数分の1にできる。多少複雑ながら構造はより強い。特に、同軸であるため、多段にしたときにもコンパクト。
効率:高
軸:同軸
バックラッシ:有
逆可動性:有
N/A
ギアヘッド
モータに直接取り付けて、モータとセットで販売されることが多い減速装置でギアヘッドと呼ばれる物がある。
遊星歯車減速の場合もあるが、多くは平歯車を1~数段組み合わせてケースに入れた物。
減速比:仕様による
軸:平行軸(ただしモータからのずれは少ない)/同軸
バックラッシ:有
逆可動性:一般に有
ハーモニックドライブ
ハーモニックドライブシステムズ社の製品。変形する円筒状歯車と楕円筒、内歯車を組み合わせた特殊な減速装置で、大幅な減速が可能。大きな減速比と逆可動性を両立しているが、順方向の効率が多少低い(減速比当たりでいえば、平歯車も低下してくるが)。またバックラッシがないなど、様々な点で優れるため、ロボットで採用されている事例はかなり多い。
効率:中
軸:同軸
バックラッシ:無
逆可動性:有
特記:高価、そこそこ重い。
ベベルギア・マイタギア・傘歯車
減速比が1/1のもの(方向だけかえる)をマイタギア、歯数が異なるものをベベルギアという。日本語表記では傘歯車と呼ばれる。
軸の方向を変えるために使われるが、バックラッシが大きいという弱点がある。より正確にいえば、歯車の取り付け位置の微妙なずれでバックラッシが大きく変化する。
そのため、バックラッシが問題になるところには使いにくい。
ただし、バックラッシはさらに減速すると出力軸への影響は少なくなるため、入力軸寄りでは問題にならないこともある。一方、出力軸には原則として使わない方がよい。
効率:高
軸:直交軸。類似品でねじれ軸のものもある。
バックラッシ:有・大
逆可動性:有
ウォーム減速機
ねじ状の円筒歯車=ウォームと、それに対応する平歯車に近い形の歯車=ウォームホイールのセットの減速機。
ウォームが一回転すると、ねじが1歯進み、ホイールも1歯進むため、ホイールの歯数が減速比を決める(ウォーム1回転で2歯進む=2条ねじ、もある)。ウォームとホイールの歯形の設計でさらに分類される。
一段で大きく減速できることと、逆可動性の無さが特徴。
効率:中
軸:ねじれ軸
バックラッシ:有(段数が少ないとかなり高い)
逆可動性:無
リンク機構(四つ棒リンク、クランクスライダなど)
運動の変換にもつかえるほか、減速・増速に使うこともでき、設計の自由度は高い。
ただし、一般に非線形特性を持つため、出力を一定速度で動かす場合には入力軸の速度を可変する必要がある。
一方で、場所によって(特に死点に近いところでは)減速比が変化するという特性を利用し、入力軸を一定速度、一定トルクで回しつつ、瞬間的に大きな力を発生させたりできる。
バックラッシなどの特性はリンクのジョイントに依存する。ボールベアリングなどを用いれば、かなり低減できる。
効率:一般に高
軸:種々
バックラッシ:リンクのジョイントの部品次第
逆可動性:一般に有
台形ネジ
代表的な直動機構。ネジを回転させると、ナットが進む。パラメータはリード=ネジを1回転させたときに移動する距離である。また、条数=ネジ部の溝の数=1回転させたときに溝が何本ずれるか、も記載されている(一般に、リードの大きなネジは条数が2,3であることがある)。
つぎのボールネジとの最大の違いは逆可動性の有無である。
効率:低
軸:回転←→直動
バックラッシ:有
逆可動性:無
ボールネジ
代表的な直動機構。ネジ機構にボールベアリングのアイデアを融合したようなもので、ネジとナットは直接接触せず、その間で球が転がる(図では隙間があるが、球と溝はほぼ密着)。そのため、極めて滑らかに回り、効率が良く逆可動性もある。
ただし、ナットがネジ端から外れてしまうと球がこぼれ落ち、組立が大変である。
効率:高め
軸:回転←→直動
バックラッシ:ほぼ無(「予圧」により実質ゼロとしたものもある)
逆可動性:有
タイミングベルト
通常のベルトは滑りが生じるが、タイミングベルトはプーリの歯とベルトの歯が引っかかるため、それ以上のずれは生じない。ベルトとしての特性である、軸間距離の離れたところへの動力伝達、加減速、中間プーリの設置による複雑な経路での伝達などが可能であるほか、直動変換にも利用できる。
ただし、ベルトの伸びなどの変形に伴う誤差(ベルト剛性)、ベルトの剛性=バネ特性による振動などの影響を考慮する必要がありうる。軽負荷(モータと減速装置の間の接続を含む)向き。
効率:高
軸:平行軸(距離が比較的自由)、回転←→直動
バックラッシ:主にベルトの伸び縮みで類似の現象
逆可動性:有
特記:軸間距離の調整の仕掛け、またはベルトに張力をかける別のプーリなどが必要。
ロボットの関節を一つ選び、そこの関節で、
をもとに、動力を計算します。効率を50%などと見積もり、モータに要求される動力を計算します。
これをメーカのモータカタログから選定して下さい。