講義をうけるにあたっては、板書よりも「話したこと」に注意を払ってください。 おそらく、板書することの多くはここにかいてありますが、脱線して話したことは書いてありませんので。
制御工学Iでは運動方程式などをラプラス変換してシステムの伝達関数H(s)を求め、その
それに対して、制御工学IIで主として扱う制御理論は、運動方程式などの微分方程式を、微分方程式のまま扱います。また、評価は、たとえば「制御中の目標との誤差のトータルがどのくらい小さいか」とか「操作量のトータルがどれくらいちいさいか(=モータの消費電力がすくないなど)」とかをみます。
その理論が登場した歴史的?順番から、制御工学Iのほうは「古典制御理論」、今回やるほうは「現代制御理論」と呼ばれています。
ある程度現代制御理論を扱ったあと、いろいろな制御にも触れます。
さらに、これを行列の形で表します。
このようにn階の線形の微分方程式は、1階の微分方程式n本に変換できます(非線型でも可の場合あり)。
この形に変換した、各変数を「
↓
現代制御理論では、システムの微分方程式を状態方程式に変換して、この行列Aの性質を数学的に調べたり、これをもとにフィードバックを考えたりすることで、制御を行う理論です。
比較項目 | 古典制御 | 現代制御 |
扱う対象 | 周波数領域 | 時間領域 |
数学表現 | 伝達関数 | 状態変数、状態方程式 |
数式表現 | sの分数式 | 行列、ベクトル表記 |
評価対象 | 伝達関数のゲイン、位相 | 状態変数の大きさ、入力の絶対値の積分値を総合的に |
入出力 | 基本的に1入力1出力 | 多入力多出力可能 |
解析手段 | おおむね手計算でなんとか | 手計算は難、コンピュータ援用が前提 |
実装方法 | アナログ回路、ディジタル回路、ソフトウエア | ソフトウエア |
対象 | ある程度特性がわかっていれば(近似的な伝達関数が得られたならば)だいたい扱える。 | 内部のパラメータまで細かく表現されている必要がある。 |
制御設計 | 直感、ボード線図を検討、根軌跡など | 評価の重みをきめてコンピュータで計算 |