メカトロニクスII
メカトロニクスIに引き続き、ここからメカトロニクスIIになります。

メカトロニクスIでは、電子回路の基礎の基礎として、

  • 電子回路の基本法則、部品の基礎
  • オペアンプによる増幅回路などアナログ回路の基礎
  • ディジタル回路の基礎
  • センサによる計測
の範囲を取り扱いました。これらは、多くの分野で必須となる電子計測の基礎となる部分です。
これに対して、メカトロニクスIIでは、おもに電子回路からメカを動かすための基礎知識を扱います。
本来の意味でのメカトロニクス、は、メカと電子回路(コンピュータ)の接点ですので、学問分野としてはI, II をあわせて、はじめて、(あくまで基礎ですが)全体をカバーすることになります。

メカトロニクスIIで、Iと大きく変わることは電力を意識するようになることです。 一般的には、「計測」「センシング」を行う場合は、扱う信号は微弱で、その信号の出力先も「電気を信号として」扱うため、たいした電流は必要ありません。そのため、電力という概念は存在していても、大抵は個々の部品の許容範囲に入っていて、考慮する必要がありません。
それにたいして、モータを動かしたりする場合は、「電気をエネルギーとして」みます。もちろんそのモータにもよりますが、回路の出力は大きな電圧、電流になります。そのため、計算上は問題なさそうでも、ふつうのオペアンプの増幅回路をモータにつないでも、出力不足に陥ってモータは回りませんし、最悪、オペアンプがこわれてしまいます。 このため、電力を考慮した、電気の扱いが必要となります。

メカトロニクスIIのもう一つの柱はトータルシステムとしての電子回路です。 Iでは、増幅回路なら増幅回路とばらばらの回路で考えていましたが、IIではより応用面がでてきます。Iの回路はパーツとなり、セットでより大きな回路となります。さらに大きな制御システムをつくるため、コンピュータ制御といった面も内容に入ってきます。

メカトロニクスIIでは、まず、電力を扱うために必要な、新たな部品の特性を紹介し、その上で、モータをはじめとする電気→機械の部品であるアクチュエータとそれを動かすための回路について扱います。
そのうえで、よりインテリジェントな機械とするための、電子制御に必要な知識を足していきます。また、制御工学Iで習うはずのラプラス変換を電子回路に適用して、抵抗、コンデンサ、コイルを同列に扱う、便利な計算法とそれらによる回路の特性の調べ方を学びます。
ここまでぜんぶ修めれば、ロボットの中にどんな回路が入っているか、おぼろげながら理解できるようになることを期待しています。

このような内容であるため、メカトロニクスIの内容の理解は前提です。 Iの基礎部分だけではなく、ほぼ全域に渡って理解しているものとして使用します(微積の講義で四則演算は前提であるような感じ)。
そのため、Iの内容を理解しがたかったという場合は、IIの内容に進むことはお勧めしません。また、Iのときに理解したつもりだけど忘れた、という場合は大至急復習する必要があります。

講義は以下のような流れで進めます。 1回
  • 動力としての電気の制御部品。
  • 半導体としての性質、細かな特性は省いて、「部品」として使うための知識。
  • ダイオード、バイポーラトランジスタ、FET
4回
  • 機械を動かすための電動アクチュエータの種類と特性
  • 電力を考慮した電子回路
  • リニアとスイッチング
  • 電源回路
  • 交流電力のさわり
2回
  • アナログ電圧をディジタル値に
  • ディジタル値をアナログに
  • 原理と応用
2回
  • マイコンとは<コンピュータとは
  • マイコンで機械を動かす
2回
  • 電圧、電流、抵抗を虚数で考える
  • 回路の特性とラプラス変換
  • アナログフィルタ回路
  • アナログ制御回路
2回
  • 実際のロボット用に開発した回路を解説
  • 回路とコンピュータと簡単な制御