タイミングチャート清書ツール:はじめに
ここで紹介するタイミングチャート清書ツールは、文字通り、ディジタル回路を設計したり動作検証する際に度々用いられるタイミングチャートを清書するためのツールです。

たとえばこんなものが描けます。

ディジタル回路では、多数の素子がその入出力特性にしたがって動作し、その結果として何らかの処理を行います。 入力にのみに従って出力を決定する組み合わせ回路の場合は真理値表で動作を規定できますが、クロック同期の順序回路などの場合は入力の時間変化を考慮に入れる必要があります。 この信号の時間変化を記述したものがタイミングチャートで、TTLの規格表のラッチやカウンタのページや、多少高級な?ICのデータシートには しばしば載っています。

回路を設計する場合や、設計した回路の仕様書を記述するために、タイミングチャートを書くことは度々あるのですが、いざ、ドロー系ツールで書こうとすると、大変です。しかも、仕様が変更になったりして修正する場合、かなりやっかいなことになります。 こんなことに嫌気がさして、適当に記号で書いたテキストから、綺麗なタイミングチャートを生成するツールをつくりましたので、公開します。

ほぼ同じ記法でかけて、 書きながら結果も確認できるツールが筑波大学の竹内先生によって公開されています。

タイミングチャートの画像をつくる目的・考えながら書く場合にはこちらのほうが便利だと思いますので、お勧めします。

本ツールの特徴を以下に示します。
いわゆる WYSIWHG ではありませんが、テキストエディタで記号を適当に書けば、それを画像にしてくれます。
いまどきGUIでないのか?という方には残念ながら向きません。 そのかわり、普段キーボードを叩く頻度が多い方なら、文字編集のテクニックがそのまま作図に生かせます。
もともとの「_~_~_~_~」などとそれっぽい文字で書いて代用していたものを清書できるようにした、という発想なので、清書前の原稿でもそこそこ見てわかります。 (見て分からないようだと編集できません...)
覚えなければならないことは僅かですので簡単です。また、なれると、清書した図を見ながら、回路の構想を練って、「ここ、もう1クロック遅らせるか」などといった思考と連動した作図が簡単にできるようになります。
時間軸の長さなどのレイアウト、線の型式やフォントなどの見た目は変更可能です。 最初に適当に書いてしまってから、見栄えを調整できます。
出力はEPS(Encapsulated PostScript)型式です。LaTeXにそのまま貼れます。 AdobeのIllustratorで読み込んで編集できます(Ver8.0で確認)。
Windows版はBitmapファイルを出力することもできます。
※手抜きなので、2色でも24bitにしてしまいます。完成したら、 適当なツールで変換した方がいいでしょう。
別公開のps2imgをつかえば、 GIFやPNGに変換できます(UNIX)。
ツールはPerlもしくはC++で記述されています。 Perlはもちろん、ソースそのもの、Windows用のバイナリもソースを含めて公開していますので、必要に応じて、好きにカスタマイズして使ってください。
営利目的の業務などに使って頂くのはかまいません。製品の開発や、書類の作成などにはご自由にどうぞ。
(そのものや改造したものを直接単品販売して利益を得られると不愉快ですが。<Linuxのdistributionに組み込みなどはもちろんかまいません)
ただし、動作を保証するものでもありませんので、ご注意下さい。
※補足1:
グラフィカルに書けるツールはいろいろ存在するみたいです。 少なくとも、回路シミュレータの類いにはついてます。 あれをいちいち起動して書いて、PrintScreen というのは耐えがたいものがあります。
※補足1−1:
mizoさんによってテキスト→MS-VISIOのツールが公開されました(注:互換性はまったくありません)。シーケンス制御&VISIO使いの方にはこちらのほうが向いているかもしれません。
(わたしはVISIOは見たこともないので(^^; 試してみてはいません<花子&Illustrator使い)

※補足2:
作者は論文はLaTeXで書いてあたりまえとおもってるUNIX(Linux)使いです。 そのため、エディタでちょこちょこ書いて、コマンド一発でEPSファイルができれば満足します。

※補足2−2:
作者は論文はLaTeXで書いてあたりまえとおもってるUNIX(Linux)使いです。 ところが最近、職場が変わった影響でWindowsに毒され始めてます。

※補足3:
作者はプレゼンテーションはJustSystemのドローソフト花子でやります(花子はVer1時代から愛用してます。ロボットの図面書いたりも<最近図面はAutoCADに浮気)。 出力はEPSだけでなく、gifにも変換できるとうれしいです。

※補足4:
「論文にもならない研究開発成果は公開すべし」というポリシーに基づいて公開されています。

※補足5:
なぜ「タイミングチャート」か?
電子回路の本を開くと「タイムチャート」という記述もみられますが、英語のデータシートを見ると「Timing chart」「Timing diagram」などの記述があります。「トランジスタ技術」誌の編集では、複数の単語をカタカナにするときは「タイミング・チャート」の様に中点をいれるそうですが、入力が面倒なので、ここではいれません。
Gooアンケートをやると、「タイミングチャート」404件、「タイミング・チャート」20件 、「タイムチャート」1174件(ただし出てくるのは株とか相場のページばかり)です。
なにはともあれ、作者的には「タイミングチャート」です。

※補足6:
ツールそのものをつくのにかかった時間より、このページを整備している時間のほうが長いような。 新装開店 tchart.exe, tcbmp.exe バグとり。 移転準備のためのリニューアル