事業としての詳細は事業団の広報ページをご覧下さい。
本ページでは、講義で使用した資料の提供や、それに関する補足説明します。
なお、本ページ群(sendai/mechatro/以下)は、主に、仙台市地域連携フェローとしての活動によって作り出しているコンテンツです。
本事業へのご参加のいかんによらず、また、仙台市在住であるかに関わらず、個人や企業内部でご利用頂くことはかまいません。
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ネットで無償公開しているものですが、仙台市産業振興事業団とも相談の上、前向きに検討いたします。
また、仙台市近辺(概ね宮城県内)の場合には仙台市・事業団の制度を利用して直接担当者がお伺いしてお話することも可能です。内容にご関心がありましたら、お問い合わせ下さい。
本来、開発系の分野では、自分自身で現時点で自由自在に使えない技術であったとしても「そういうものがある」ということを知っていることが、本来の自身の専門分野での開発や着想に大きな力になります。また、他の分野の方と相談するにしても、基礎知識があれば、よりスムーズになります。
とくに、メカトロニクス分野は機械、電子回路(エレクトロニクス)、コンピュータ(ソフトウエア)と多分野にわたる総合技術です。機械専業、電子回路専門、ソフトウエア担当と複数の専門家や企業で分担して開発にあたるケースも多いと考えられます。
実際、仙台市地域連携フェローとして多くの企業の現場を拝見した範囲では、1人で全ての範囲をカバーするというケースは見られず、かつ1社で全てをカバーするということも多くないようでした。
複数で、メカトロニクス機器を技術分野で分割するということは、「どこで切るか」という問題が生じます。
我々のところで毎年のようにロボット・メカトロ開発を行っている経験からすると、開発における重要ポイントはこの切り分け作業です。ところが、切り分けを行う場所は、往々にして技術の境界部分です。それぞれの専門分野のぎりぎり端か、その少し向こうあたり。
さらに、この切り分け部分で「どうつなぎ合わせるか」も、効率のいい開発を行う場合の重要なポイントです。
そこには「両方の分野の知識」さらには「メカトロシステム全体に対する知識」やセンスが必要になってきます。
「プロでなくてもいい、ただ知っているだけ」がこういう所に活きてくるのは間違いありません。 もちろん、その上で「作れなくても理解はできる」という段階、「境界部分を多少作ることができる」と、少しずつ範囲を拡げていくことで、段々、周りとの重なりが増えてきます。 重なりが多くなればなるほど、より密接に協業し、より効率がいいものづくりができるようになります。 この拡張を続けていけば、もしくはどこかで大きくステップアップを果たせば、事業分野の拡大にも繋がるでしょう。
本講座の狙いは、そのスタートラインを超えるところにあります。 全く未知の領域にも、軽い気持ちで踏み込んでみれば、世界が広がるかもしれません。
この講座のもう一つの狙いは、基礎分野の講座の拡充です。
もともと、東京に行けば様々な技術講習会が有料で提供されていますし、仙台市近辺でも県の事業や高専の事業などで専門技術の実習付き講習会が提供されています。ところが、これらの講座は一般に「基礎知識があるところで、特殊な知識を増やす」「現在の専門の先に、先端的技術を追加する」という点に主眼があって、実はそういった講習会を受けるために必要な基礎知識の提供がなされていません。
そこで、まったくの初心者の状態から、なんとなく基礎が分かりそうな気がする、というところまでをになう講習会の必要性を感じました。
そこで、この講座は「受講者に専門知識は基本的になくてもOK」という前提を基本にすることにしました。目標は「多少関心があれば高校生でもわかるレベル」。
つまり、各々の分野で本当になにも知らなくとも、なんとなく分かる気がする、を目指します。
そもそも、このセミナーは、仙台市・仙台市産業振興事業団・地域の大学による産学官連携の取り組み、地域連携フェロー制度の一環としてスタートしました。特定の専門を持たない一方で分野は広い、という特性をどう地域支援につなぐか、という試行錯誤の一つとして、幅広い「雑学」セミナーの開催を始めました。
メカトロニクスという技術を扱う上での大きな壁は、一つの専門分野では全体設計ができない、ということがあります。
それゆえ、地域の企業でも、会社の専門性をメカやソフトに限定して高め、複数の会社での共同開発(自社でまかなえない部分の外注)を前提としたり、一社で総てをカバーする企業でも社内ではメカ部門、回路部門、ソフト部門といった区分をし、それぞれに専門の技術者を配置するケースが一般的です。
この方法は効率がよいことは確かですが、それだけではメカトロの総合設計にはつながりにくくなります。
理想的なメカトロ技術者は、総ての分野において方式選定(課題に対してどのような手段を使うべきかを選ぶ=設計のなかでも経験が必要)ができ、それゆえ総てを組み合わせてメカトロ全体の概略設計(なにをどういうメカで実現し、ソフトではなにを担当するか、どういう計測制御をかけるか)をできる技術者です。しかし、一分野でも経験を積むには時間がかかることから、総てをそこまで、とはなかなかいきません。
そこで、現実的には、なにか一分野は十分に責任を持てる高度な専門性をもつこと、それとともに、他の領域についてもある程度の理解できること、設計全体はできないにせよ設計された結果の理解ができたり、見解を述べられる程度には専門性を持つことを目指し、お互いに専門的な議論ができる技術者複数で全体のプロジェクトの設計をする、という方針が、第一目標になると考えます。
もちろん、そのレベルまで行かないとしても、お隣の分野、仕事上つながりのある別分野のことを知ることは、自分の専門担当の完成度を上げる上でも有用です。たしか、ああいうことはソフトが得意なはずだからメカの設計は主要部を重点的にして総合的なところはソフトでできないか相談してみよう、この処理はソフトでできるけど下処理は回路でやった方がいいだろう、このメカはこんな感じの特性を持っているはずだからそれを見越したソフトの構成設計をしよう、など。その意味で、周囲を浅くとも広く知ることは重要だと考えています。
一方で、自分の専門から外れた専門を身につけ始めることには、あるいはその分野に着手するには大きな抵抗感があることも確かです。
「見たことも聞いたこともないこと」。それを「聞いたことはある」にして、なんとかなるかもしれないと思えるようにすることこそ、本セミナーの目的です。
まずは、雑学レベルでも、一度その分野を覗いてみて、その上で、必要なら専門性を高めるきっかけにして頂ければと思います。
このような目的のセミナなので、各回の方針としては、予備専門知識なし(主に高校くらいまでで済みそうな基礎のみ)、数式をなるべく排して直感的な理解を目指すようにしました。また、アフターファイブに時々開催、というスタイルなので、気が向いた回だけご参加頂けるよう、回ごとの関連性は基本的になくし、どの回だけでも成立するようにしています(もちろん、関連がある別の回は紹介しています)。
セミナのご活用方法としては、時々開催されるレギュラー回@仙台市産業振興事業団(これから改定再演型も順次増やしていく予定です)のほか、ある程度数が見込めれば、地域連携フェロー制度の派遣対象の範囲に出前講座も行いますので、事業団までご相談ください。
いうまでもなく、このサイトの資料をご覧頂くということもありです。
このメカトロセミナの構成は、多分に私のメカトロに対する考え方が含まれています。
その一つが、センシングの重要性です。多くのメカトロシステムにはセンサが使われています。
かなりの割合は制御に用いるセンサ、つまり、制御対象の状態を拾うためのものですが、もし、このセンサがちゃんと計測できなければ、なにを制御しているのか分からなくなりますし、安全性に関わる場合もあります。
実際に生のセンサを買ってきて、その回路を設計し、ソフトを総て書き、ということはメカトロ開発の現場では少ない方だと思います(一般にはセンシングのモジュールを買ってきて設定してOK/NGを出させるような使い方)。
しかし、どうセンシングされるかを知ることは、他の部分の開発をするにしても、センシングにどう配慮すべきかというヒントにはなろうかと思います。
もう一つの着目点は、回を追うごとに増えてきた、数学・法則・理論よりの内容です。
本セミナはなるべく数式を排し、とは考えていますが、やはり具体的なものの開発をしようとすると、その特性を知る必要があります。
数式というものは、「言葉で説明すると面倒なことをすっきり書く」ための道具であると共に、一度数式に変えてやるとメカトロに限らない汎用の数学テクニックを使うことで、直感だけでは説明しきれない・たどり着けないような結論を得るためのものです。
その結果をまたメカトロに戻してやることで、よりよい設計開発につながります。
「避けないほうがよい数学がある」
なるべく使う数式は単純なものにとどめるようにはしていますので、数式が出てきたときにも、丹念に解釈してみることをお勧めします。