プチテスト・レポート 2004

最終更新: 2005/10/24 10:29:59

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このページはプチテストやレポートの問題、解答、解説を掲載するページです。 プチテストのときにわからなかったことは、必ずなんとかするようにしましょう。


プチテスト

04/10/18 抵抗、電圧、分圧

プチ図041018 Q:右の図において、抵抗R1=R2=100[Ω]のとし、R3を以下の抵抗値としたときに、抵抗R2,R3の両端に発生する電圧を求めよ。
・R3=∞
・R3=100[Ω]
・R3=99900[Ω]

A:
○ R3=∞の場合:
無限大というのは、接続していないのと同じなので、この場合はR1,R2による分圧回路になります。 分圧比率は100:100なので、分圧の計算より
E=\frac{R_2}{R_1+R_2}\cdot3=3\frac{100}{100+100}=1.5
よって、1.5[V]となります。
なお、回路を流れる電流から求める場合、電流は 3/(100+100)=0.015[A]、よってE=0.015*100=1.5[V]となります。
マークは 0-1-5-0-0。

○ R3=100[Ω]の場合:
まず、R2とR3の並列合成抵抗R23を求めます。
R_{23}=\frac{R_2R_3}{R_2+R_3}=\frac{100\cdot100}{100+100}=\frac{10000}{200}=50 or \frac{1}{R_{23}}=\frac{1}{R_2}+\frac{1}{R_3}=\frac{1}{100}+\frac{1}{100}=\frac{2}{100}=\frac{1}{50}
よって、R2,R3の合成抵抗は50[Ω]です。
この50[Ω]とR1=100[Ω]の分圧回路になります。
E=\frac{R_{23}}{R_1+R_{23}}\cdot3=3\frac{50}{100+50}=1.0
よって、1[V]となります。
マークは 0-1-0-0-0。

○ R3=99900[Ω]の場合:
まず、R2とR3の並列合成抵抗R23を求めます。
R_{23}=\frac{R_2R_3}{R_2+R_3}=\frac{100\cdot99900}{100+99900}=\frac{9990000}{100000}=99.9
よって、R2,R3の合成抵抗は99.9[Ω]です。
この99.9[Ω]とR1=100[Ω]の分圧回路になります。
E=\frac{R_{23}}{R_1+R_{23}}\cdot3=3\frac{99.9}{100+99.9}=1.49924
よって、1.4992[V]となります。
マークは 0-1-4-9-9。

解説:
単純な計算ですが、R3の値の変化で電圧が変ることが確認できます。
講義のとき、「分圧」で、「後ろに電流が流れていかないような場合、後ろの抵抗値が十分大きい場合」に、適当な比率の電圧をつくることができると話しました。R3=∞は本当になにも無い理想状態で、100:100なので、半分の1.5[V]になります。 しかし、後ろに、100[Ω]という、分圧回路を作るための抵抗に匹敵するようなものがぶら下がると、電圧が1.0[V]まで下がります。後ろの回路が純粋な抵抗なら、あらかじめ調整することもできますが、一般にはそう簡単ではありません。 で、ぶら下がる抵抗が 99900[Ω]、約千倍のときは、1.4992[V]と、誤差が1/1000[V]程度に収まります。どのくらいの精度が必要かにもよりますが、一般に、電子回路の精度で0.1%というのは、かなり高い部類で、まあ、100倍もあれば、それほど困らない1%精度くらいにはなります。 さて、では、2番目のケースのように100[Ω]をつなぎたい場合、R1=R2=1[Ω]にすればいいのでしょうか?
その場合、R1,R2に流れる電流は1[A]を越えます。常識的に考えたら、これはかなり無駄な電力です(熱になるだけ)。 そういうときにはまじめに回路をつくることになります(実質的に、出力1.5[V]の電源回路をつくることになる)。

11/29 増幅回路

反転増幅回路 Q1:右図の回路の機能を数値を含めて述べよ。

A1:
これは反転増幅回路です。
講義で書いた回路図と、抵抗の番号が異なり、さらに実際に数値が入っていますが、「どこにどれだけの抵抗がつないであるか」が問題なので、オペアンプとの位置関係をみて考えます。
この場合、
V_o/V_i=-(R_2/R_1)=-10
よって、10倍(−10倍)の増幅をする回路となります。


Q2:右の回路と同等の(正負問わず)増幅が可能で、入力にほぼ電流が流れない回路を設計し記述せよ。

A2:
提示した回路では、入力に (Vi/30k)の電流が流れます。そのため、「R1を30MΩにする」というのも、一見すると「ほぼ流れない」回路になりますが、電子回路は数式だけのものではなく、実現の可能性まで前提に検討すべきです。 そのため、入力抵抗の大きな増幅回路として、非反転増幅、ボルテージフォロワ、インスツルメンテーションアンプなどの採用を考えます。
非反転増幅回路 このなかで、もっとも単純で題意にあうのは、非反転増幅です。
増幅度は
V_o/V_i=(1+R2/R1)
なので、同等の増幅、すなわち10倍程度とするために、1+R2/R1=10、R2/R1=9、R2=9R1 とします。
1:9であればいいのですが、実際に回路として成立させるには、実在の部品で現実的に組む必要があります。
講義で示したE24系列を使うならば、1:9が成り立つ組み合わせとしては、R1/R2=20k/180k, 30k/270k などがあります。
また、抵抗の精度や「同等」の解釈より、11k:100kで10.1倍という選択しもあります。

ありがちな、「間違いではない間違い」としてはR1=1Ω、R2=9Ωなどがあります。数式上は間違いではなく、オペアンプによっては実際に動作しますが、講義中にも話した通り、各抵抗に流れる電流などを考えると無駄が多く、現実的とは言えません。


レポート

10/25 センサ → 締切 11/8

課題:

注意:講義で配布した専用用紙のみ使用可能とする。それ以外の用紙は受け付けない。

採点基準:
採点は
・100文字を満たしたか
・きっちりかけたか
・種類数(最大で10くらい上げてくれた人もいましたが、加点は比例ではありません)
あたりを見ました(基本的に甘め)。そのほか、ある意味一種類とも言えますが、たとえば光センサとして一般的特性と種類多数とその簡単な説明、というような記述には、それなりに柔軟に配点しました。

その中で、おっ、と思った物(含、妙?なもの)。
・EMセンサ ・QCM水晶センサ(共振のずれから微弱質量測定) ・バイオセンサ(複数。堅さとか酵素とか) ・サップフローセンサ(樹液流量→蒸散量) ・PRISM(パンクロマチック立体視=衛星系) ・花粉センサ ・ASTER(衛星系?) ・フラックスゲート ・Magneto-Impedance ・光ファイバ降雪 ・糖酸度 ・ピークセンサ(ピークホールド回路ではなく、最大変位を物質的に測定できるのがあるらしい) ・脈波 ・TMF(磁界系) ・HPSI−M ・水位 ・差動トランス ・光ファイバ磁気 ・来客センサ(温度、遠赤系)
※種類は点数に影響はほとんどありませんが、楽しませてもらいました。

12/13 → 締切 2005/1/17

Q:
オペアンプを使った回路を雑誌、書籍、ネット等でひとつ探し、その回路図、機能を記載するとともに、これまでの講義をもとに、「可能な限り」解説してください。
提出:2005年1月17日

注意:講義で配布した専用用紙のみ使用可能とする。それ以外の用紙は受け付けない。


熊谷正朗 [→連絡]
東北学院大学 工学部 機械知能工学科 RDE
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