プレゼンテーション

[| ]  最終更新: 2012/06/01 17:07:58

よりよいプレゼンテーションのために

フレッシュマンセミナは「プレゼンテーションの訓練」が第一目的です。 自分でネタを探し、整理し、人に分かるように発表します。
ものづくりコースでは、ネタの大枠としてものづくりを、また梵天丸をつかう選択をしており、活動の中心には違いありませんが、あくまでこれは「ネタ」の部分であって、プレゼンテーションが重要です。

さて、良いプレゼンテーションとは、と語って聞かせるくらい、熊谷自身のプレゼンには自信はありませんが、見て聞いててうれしいプレゼンとは、

※繰り返しますが、自分自身でこれが全部達成されているとは思っていません。

以下では、実例を挙げて、簡単なところからプレゼンを良く?する方法を説明します。


プレゼンテーションの道具

プレゼンテーションでは資料を提示する必要があります。
工学系においては、理論のための図だったり、数式だったり、実験結果の表やグラフや写真だったりします。
こういったものを提示するためにいくつかの道具があります。 ここでは、一般的なパソコン方式をさらに見てみます。
パソコン画面にでていれば、実質的になにをつかってもかまいません。一番単純なところでは、全部のページ(昔の用語そのままに「スライド」と一般に呼ばれます)を画像ファイルにしておいて、WindowsXPの「画像とFAXビューワ」で順に送ってもかまいません。
ただし、画面を整えたり、図などを加えたり、文字を入れたりするとなると面倒なので、専用のソフトがいくつかあります。

事実上の標準となっているのがマイクロソフト社のPowerPointです。
コンピュータ基礎でもある程度使い方を習うと思います。
これは、プレゼンテーション用に開発されたソフトなので、画面の雰囲気をお手軽に設定したり、がらっと変えられるテンプレート機能、画面の構成をそろえる各種フォーマット、簡単な作図、アニメーション機能など、いろいろな要素がつまっています。
どんな機能があるか、適当にいじっているといろいろでてきますし、そこそこ直感的に使えると思います。
要注意点としては「リハーサル」機能は原則使用禁止です。よく分からないままこの機能を使うと、ページをめくるタイミングを勝手に記憶して、本番でも自動的にページをめくってしまって、「待って〜」とあわてることになります。なので、禁止。

熊谷自身はPowerPointはほとんどつかいません。マイクロソフト嫌いということもありますが(笑)、ジャストシステムの「花子」というソフトを使っています。これは本来、ドロー系ソフトと呼ばれる、線などで図を書いていくソフトです(Adobe Illustratorもこれ系)。イラストを描いたり、製図したり、レポート書いたりと大学に入る前から愛用してきていました。これに簡単ですがプレゼン機能がついたので、そのまま使い続けています。本来ドロー系なので、作図機能が強力で、実験装置の図などを書くのに便利です。
ただ、残念ながら演習室には導入されていません。

いずれにせよ、画面になにかを出せることが重要です。
そのため、最終発表はPowerPointを標準として使います。中間審査の段階では、まだPowerPointの使い方も良く分からないかもしれませんので、MS-Wordなど、その他のソフトでかまいません。画面上でなにか見せつつ、プレゼンしてください。


中間発表審査

中間発表は以下の条件で行います(予定) 昨年にならって「MRナンバー」で大きい方から。

最終発表会

最終発表は以下の条件で行います(予定) その他詳細は決定後お知らせします。発表順は番号順。

プレゼンの注意点

ここでは、プレゼンをする上での典型的注意点をまとめておきます。

強調のしすぎに注意

基本的に、強調は、その部分を強く主張したいから強調するのですが、人間が一度に認識し、記憶に残せることはそう多くありません。なので、やたらと強調のための処理をすると、なにが大事か印象づけられなくなります。

ま と め
・この発表では新型のロボットの設計について述べた。
・従来に比較して、高出力でありながら軽量で、安全性が高い
・きっとよく売れる
その1
ま と め
・この発表では新型のロボットの設計について述べた。
・従来に比較して、高出力でありながら軽量で、安全性が高い。
・きっとよく売れる。
その2
ま と め
・この発表では新型のロボットの設計について述べた。
・従来に比較して、高出力でありながら軽量で、安全性が高い。
・きっとよく売れる
その3
とりあえず、三つの例をあげました。例1は3色で強調したので、大事なのはわかりますが、どこを訴えたいかが不鮮明です。それに対して例2では「新型のロボット」であることが重視されています。例3では「売れること」が重視されています。

複数の強調手段(色多数、色と太字、フォントなど)を使うとどれが一番重要か分からなくなります。基本的に強調手段は一つにすべきです。
どうしても複数必要なら、段階が分かるもの、たとえばフォントサイズの大小やフォントの太さの順序、色でも明らかに順序が分かるようなものを選ぶといいでしょう。

ただ、図などを書くときは多くの色を使った方がより分かりやすくなります。その場合、1:同一要素は同(系統)色で、2:隣接するものはそこそこ異なる色を、3:必用以上には多色にしない、ことに注意が必要です。

いずれにせよ、強調の意図が分かりやすいことが重要です。

配色

デザイン全般で配色は重要です。いろのセンス、というのも重要ですが(やっぱり自信なし)、もっと重要なのは色のコントラストです。たとえば、
 
あいうえお
 
その1
 
あいうえお
 
その1
この二つの例、たぶん、後者のほうがはっきり見えると思います。これは、 1:色の系統の違い、2:明度の違い、によります。

たぶん、美術などで色を円状に配置したものを見たことがあるとおもいます。これの中心をはさんで反対にある位置の色、青と黄色とか、赤と緑はくっきりと見えます。そういう関係にある色を選ぶと、はっきり見えやすくなります。
より親切を考えるなら、赤緑色盲の方は赤と緑の区別がつきにくいので、その組み合わせは避けた方がいいかもしれません。

もうひとつは、白黒で見たときの明るさの違いです。人間の目の明るさの感じ方はおおざっぱに緑:赤:青が6:3:1程度です。カラー画像をモノクロにするときは、そのピクセルの3原色をこの比率でまぜます。
これはたとえば、青は100%の明るさでも、全体としてはせいぜい10%にしかならないということを意味します。一方で、緑を主にすると基本的に明るい色になります。このギャップもそこそこ見た目に影響します。
見た目以上に影響するのは印刷時です。カラー印刷ができるならいいのですが、配付資料などは多くの場合モノクロです。図などで明るさの近い色を使ってしまうと区別がつきにくくなることは覚えておくと何かの役に立つでしょう。

画面は画面、口上は口上

ときどき、画面びっちりに文字を書いて、それをポインタなどでなぞりながら読み上げる人がいますが、あれは何のための発表者か分からなくなってしまいます。

梵天丸上図 左の図は梵天丸の写真を示します。梵天丸は長さ○○mm、重さ△△gのロボットで、モータ2個で駆動で駆動します。センサとしては赤外線を用いた障害物センサを搭載しています。
その1
に、対して「左の図は梵天丸の写真を示します。梵天丸は長さ○○mm、重さ△△gのロボットで、モータ2個で駆動で駆動します。センサとしては赤外線を用いた障害物センサを搭載しています。」と文字をたどりながら発表。
梵天丸上図 梵天丸
・長さ:○○mm
・重さ:△△g
・駆動:モータ2個による
・センサ:赤外線障害物検出
その1
に、対して「この図は(といいつつ写真をポインタで指す)梵天丸の外見です。梵天丸は長さ○○mm、重さ△△gのロボットで、モータ2個(モータのあたりを指す)で駆動で駆動します。センサとしては(センサのあたりをさす)赤外線を用いた障害物センサを搭載しています。」と重要なところを指しながら発表。

あからさまに後者のほうが分かりやすそうですが、それでも前者のような形態での発表はそこそこ存在します(この例は極端ですが)。しかも、1字ずつなぞってくれるので自分のペースで黙読もできません。
完全に読み上げるだけなら、発表者はいりません。画面は、「口で説明できないこと、もの」「形が重要なもの」(プログラムなどを含む)「列挙した方がいいことがら」などにとどめ、文章でずらずらとは書かない方がいいでしょう。ある程度説明的なことを並べる必要があるなら、簡潔な箇条書きがいいでしょう。
また、文字を減らすことで「図をぎりぎりまで大きくできる」「字を大きくできる」という効果もあります。

じゃ、話すことはというと、暗記しておくか、その場で考えて話すしかありません。 私自身、初めて学会発表したときは原稿作って練習しましたし、いまでも国際学会(当然英語)で発表するときは原稿作って何度も練習して準備し、以前は忘れたら原稿を読んでました。が、日本語で発表するなら、日本人なら、その場で言葉はつくれます。なにを話すべきかをしっかり覚えておけば、その場でなんとかなるはずです。へたに、原稿を暗記するとちょっと忘れるとすぐにつまったりしますし労力もかさみます。発表しなければならないことを図やキーワードの形でプレゼンデータに入れておくとよいでしょう。

発表の長さの目安

あくまで、一般的にいわれていたり、経験に基づく目安です。

発表枚数は、1分1枚〜2枚程度のページ数が適当とされています。説明が多いなら、1枚、写真などをぱらぱら見せるなら1分あたり2,3枚出せますし、出してもたぶん、聴衆は大丈夫です(聴衆第一)。
最終的にはまずつくってみて、練習して、長さをチェックしましょう。
なお、長さの関係上余ったページはもったいないので後ろのほうに移動しておくと、質問を受けたときの資料にできたりします。

発表時間はきっちり守る必要があります。一般には質疑応答まで含めてきっちりなので、発表時間は多少増減有りです(その分、質疑応答時間が増減)。
経験上、なんの練習もせず、つくったプレゼンデータで試しに発表すると、最終的な発表時間の2倍程度の時間がかかります。データそのままでもう一度やると、1.5倍くらいに短縮します。これは、慣れによるものです。で、なんどかやるうちに、落ち着いてきます。落ち着いてから増減してもいいのですが、こういった法則をつかんでおくと、1回目で修正ができます。
また、発表練習しているうちに、話したいことと食い違っているページ、足りないページが出てくるのでそれを修正しながら練習していきます。

ちなみに、熊谷の場合、どんなに手抜きしても、学会での発表前には3回くらいは、ぼそぼそと練習しています。
とりあえずデータができた段階で1回。このときは詰まるところなどを修正しながら時間も計らずです。
一通りデータが調整できたら2回目。ここでスムーズ具合と時間を確認します。
あとは発表前日に宿泊先のホテルで3回目。ここで修正をいれることもあります。パソコンでプレゼンができるようになった恩恵です(昔はOHPだったので修正困難)。すごいひとになると、人の発表聞きながら作ってたりしますが、まねしない方がいいです。

ちなみに、初めて学会発表したとき、小部屋にこもって7回必死で練習して、時間もぴったりにして、いざ、先輩に連れられて会場へ。壇に立ったあとの記憶はなにもありません(汗。見ていた先輩によると「ここ(わりと後ろのほう)でもガタガタ震えてるのが見えたよ(笑)。でも言うことはちゃんといってたかな」。記憶が飛んでも頭はおぼえていたようです(^^;。



熊谷正朗 [→連絡]
東北学院大学 工学部 機械知能工学科 RDE
[| ]