実践 ロボット用電子回路

[| ]  最終更新: 2011/02/10 19:18:58

ロボット用回路の特徴

メカとコンピュータをつなぐ回路

メカトロ機器の一つの目立った形であるロボットは、メカトロであるがゆえの特徴があります。
多くの部品がコンピュータを介してつながっていることです。

ディジタル制御
ディジタル制御システムの例
従来の純機械によるシステム、旧来の電子制御によるシステム、今日のコンピュータ制御のシステムも、すべて制御(明示的、暗示的に)を行うシステムでは、対象→検出→制御則→操作→対象が、対象システムにひっついています。
機械システムではこれがリンク機構などのメカニカルな要素で、電子制御システムは電子回路で構成されています。
今日のシステムでは、これにコンピュータが単に仲間として加わったのではなく、原則として中間に入ります。検出された情報の加工や変換、制御則、それらがコンピュータ上のソフトウエアで行われます。 それを模式図としたのが先にも出ている右図です。

そのため、メカトロなシステムの場合、

という、非常にシンプルな構成となります。そのため、それぞれの部材からコンピュータまでの部分だけを適切に設計製作すれば、その部分はセンサなどと一緒にどこかにもっていってすぐ使えます。また、実際の値への変換(たとえば、温度センサならAD値から温度の実数値)もソフトウエアなら式1本です。
むろん、旧来のシステムでもこのような区分けはできますが、案外接続部の調整がめんどうだったり(メカニカルなシステムでは実質的に再設計)、制御部分をおいそれとつなぎ変えられなかったりします。

ここでいう「適切」とは、センサやアクチュエータの性能が十分に引き出され、かつ、十分に細かく扱える、ということです。 そのためには、

が要求されます。たとえば、あるセンサが、 の場合、マイコンについているA/Dを0〜5で使うなら、 という条件の回路です。
逆に、それだけの回路さえ用意すれば、コンピュータにつながり、結果的に制御システムに使える、ことになります。

回路の傾向

具体的な回路の傾向は、パソコンベースの制御システムと、マイコンベースのシステムで、そこそこ異なります。

両者に共通する特徴としては、

があげられます。ステッピングモータやロータリーエンコーダなどは、その分かりやすい例です。

両者で異なるのは、アナログの入出力です。 実際には、今日では出力でアナログが使われることは少なく、もっぱら、入力のみです。

という構成となります。ただ、実際には、正負の物理量があるセンサでも、物理量=0のときに2.5Vを中心に出力するようなセンサもあります(一般に、こういうセンサも単電源で動くため、装置としては作りやすい)。この場合、どういったレベルシフト、どういった増幅をしながら信号を変換するかがキモとなります。

ただ、依然として「個別に」考えればよく、「コンピュータにつなげば勝ち」といえるところが、メカトロシステムのとても気楽なところです。


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熊谷正朗 [→連絡]
東北学院大学 工学部 機械知能工学科 RDE
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