プチテスト&レポート 2004

[| ]  最終更新: 2005/05/29 23:34:08

傾向と対策?

プチテストは本講義を進め、修了するにあたり、できないと困るというレベルのごく単純な計算を基本に出題しています。 ということは、このくらいはできないと合格の可能性も著しく低下するわけで、興味のみで単位抜きに受講している学生さんは別として、必ず計算できるようにしておいてください。 できるからと言って合格は保証しませんが、できないときついです。

レポートに関しては、多少まじめに計算しないと大変そうなネタを提供します。


プチテストとその解答例

第1回(04/05/10) 回転×回転=角度+角度

Q:
R="30度回転"のとき、R2が"60度回転"になることを確認せよ。

A:
30度=π/6、60度=π/3
\vect{R}=\Mtt{\cos \pi/6}{-\sin \pi/6}{\sin \pi/6}{\cos \pi/6}=\Mtt{\sqrt3/2}{-1/2}{1/2}{\sqrt3/2}
\vect{R}^2~&=&\Mtt{\sqrt3/2}{-1/2}{1/2}{\sqrt3/2}\Mtt{\sqrt3/2}{-1/2}{1/2}{\sqrt3/2}\nonumber\\&=&\Mtt{1/2}{-\sqrt3/2}{\sqrt3/2}{1/2}
\Mtt{\cos \pi/3}{-\sin \pi/3}{\sin \pi/3}{\cos \pi/3}=\Mtt{1/2}{-\sqrt3/2}{\sqrt3/2}{1/2}=\vect{R}^2
よって、60度回転となる。

第2回(04/05/17) 空間回転の順番

Q:
X軸周りに45度回転させる行列RxとZ軸周りに90度回転させる行列Rzに対して、RxRzおよびRzRxを計算し、回転に順序が重要であることを確認せよ。

A1:
\vect{R}_x=\Mss{~1}{0}{0}{0}{\cos(\pi/4)}{-\sin(\pi/4)}{0}{\sin(\pi/4)}{\cos(\pi/4)}=\Mss{1}{0}{0}{0}{1/\sqrt{2}}{-1/\sqrt{2}}{0}{1/\sqrt{2}}{1/\sqrt{2}}
\vect{R}_z=\Mss{\cos(\pi/2)}{-\sin(\pi/2)}{~~~~0}{\sin(\pi/2)}{\cos(\pi/2)}{0}{0}{0}{1}=\Mss{0}{-1}{0}{1}{0}{0}{0}{0}{1}
より
\vect{R}_x\vect{R}_z&=&\Mss{1}{0}{0}{0}{1/\sqrt{2}}{-1/\sqrt{2}}{0}{1/\sqrt{2}}{1/\sqrt{2}}\Mss{0}{-1}{0}{1}{0}{0}{0}{0}{1}\nonumber\\&=&\Mss{0}{-1}{0}{1/\sqrt{2}}{0}{-1/\sqrt{2}}{1/\sqrt{2}}{0}{1/\sqrt{2}}
\vect{R}_z\vect{R}_x&=&\Mss{0}{-1}{0}{1}{0}{0}{0}{0}{1}\Mss{1}{0}{0}{0}{1/\sqrt{2}}{-1/\sqrt{2}}{0}{1/\sqrt{2}}{1/\sqrt{2}}\nonumber\\&=&\Mss{0}{-1/\sqrt{2}}{1/\sqrt{2}}{1}{0}{0}{0}{1/\sqrt{2}}{1/\sqrt{2}}
よって異なる。

補足:
当然、条件によってはRxRz=RzRxもあり得ますが、「必ず成立するわけではない等式」は等式ではないものとして扱いましょう。 (Rx,Rzが単位行列以外はたぶん成り立ちません<直感)
cf.行列の積

第3回(04/05/24) 秘密の問題

算数と感想。

第4回(04/05/31) 作画の問題

Q:

凹
|
○
|
○
|
○
|
◇
|
 ̄
なる構造のロボットを立体的な絵(イラスト)で書いてみよ。 また、できる作業を考えて例示せよ。

A:
土木工事のショベルカーなどはこの一例。根本の関節で旋回、つぎの2関節で手先位置、最後の1関節でバケット角度など。
実際にあった解答例:
溶接、物体搬送、コップをつかんで水を飲める(?)、高所からの人間の救助装置、ふき掃除、建物破壊
絶叫マシン、先からビームが出る、脳天チョップ、腕相撲マシン
おもに
・360度旋回できること
・手先の位置と方向(手先を平行/水平なまま動かせる)が指定できる
ことが重視されているようです。

第5回(04/05/17) 3自由度マニピュレータを直接計算

Q:
講義で題材とした3自由度マニピュレータについて、行列などを使わずに直接手先座標を求めてみる。

A:
まず、安直に
z=d_1-d_3
です。
次に水平面の座標(x,y)を考えます。 第2関節(肘相当)の座標は、やはり安直に
x_2&=&a_2\cos\theta_1\nonumber\\y_2&=&a_2\sin\theta_1
です。第2関節から第3関節まで、すなわち(x-x2, y-y2)は、長さがa3、角度は基準座標から見るとθ1+θ2です。 よって、
x-x_2&=&a_3\cos(\theta_1+\theta_2)\nonumber\\y-y_2&=&a_3\sin(\theta_1+\theta_2)
あわせて、
x&=&a_2\cos\theta_1+a_3\cos(\theta_1+\theta_2)\nonumber\\y&=&a_2\sin\theta_1+a_3\sin(\theta_1+\theta_2)
となります。講義で求めた同時変換行列の、第4列(並進部分)と一致することを確認してください。

第6回(04/07/05) 空間回転の順番

Q:
車輪直径 2r=100mm、車輪間隔 2d=200mm の対向2輪型ロボットにおいて、一定角速度で右車輪が3π、左車輪がπ前進方向に回転した。 ロボットの移動軌跡を図示せよ。

A:
\Delta L_R&=&\phi_R r=3\pi\times50=150\pi\nonumber\\ \Delta L_L&=&\phi_L r=\pi\times50=50\pi
\Delta L&=&(\Delta L_R+\Delta L_L)/2=100\pi \nonumber\\ \Delta \theta&=&(\Delta L_R-\Delta L_L)/2d=\pi/2   \nonumber\\  \rho&=&\Delta L/\Delta \theta=200
よって、ロボットは半径200mmでπ/2旋回する。これを適宜図示すればよい。

解答をみて気づいたこと:
多くの学生さんは上記計算が出来ていますが、そのあとの図示がちゃんとできていません。 ロボットに限らず、機械分野では計算結果や設計結果を正しく思い浮かべることが重要です。 今回の結果を図式化するにあたって考慮すべき点は

の2点です。 皆さんの書いた図で多かった例は、90度は出来ていても、半径と車輪間隔の関係がいい加減というものでした。 また、旋回を扇形で示し、その角度が30度もないのに、そこにπ/2と記載するケースもそこそこありました。 車輪移動ロボットの場合、どの辺りを中心に回るかで障害物に当る当らないなどの影響が出るため、きっちりイメージすることが望まれます。

レポート

第1回(04/05/24出題、04/06/07 講義で回収)

Q:
講義で行った「オイラー角の解析」と同様に、
  X軸まわりにφ→Y軸にθ→Z軸にψ
回転する変換行列Rを求め、Rが与えられたときにφθψを求める方法を検討せよ。
(別表現)
X-Y-Zの順番で回転させるロールピッチヨー角回転変換の変換行列
\vect{R}=\Mss{~1}{0}{0}{0}{~~\Cph}{-\Sph}{0}{\Sph}{\Cph}      \Mss{\Cth}{~~0}{~~\Sth}{0}{1}{0}{-\Sth}{0}{\Cth}        \Mss{\Cps}{-\Sps}{~~~~0}{\Sps}{\Cps}{0}{0}{0}{1}
を求めよ。
また、Rが与えられたときに、(φ,θ,ψ)を求める方法を検討せよ。


ヒント:
頑張って計算する。計算結果は、各列ベクトルの大きさが1、各列ベクトル間の内積が0となることでほぼ検算できる(ならないときは計算ミス)。

レポートは指定の用紙で提出すること。用紙が必要な場合は熊谷まで申し出ること
※また、用紙をぐちゃにしないこと。レポート類はコンピュータで処理しています。



熊谷正朗 [→連絡]
東北学院大学 工学部 機械知能工学科 RDE
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