H8/3052マイコン実習:導入

[| ]  最終更新: 2011/02/10 20:13:22

はじめに

本文章は株式会社ルネサステクノロジ社製H8マイコンシリーズのH8/3052を用いた、秋月電子社製 AKI-H8/3052 マイコンボードを対象とした、マイコン実習コースの解説書です。
実習には熊谷が開発した実習セット "H8train"を併用します。

本実習の手順は以下の通りです。

  1. マイコンボードの組み立ておよびモニタプログラムの書き込み
  2. モニタを利用した各種入出力機能の実習
    およびセンサ等の情報取得、ステッピングモータ操作
  3. 簡単なプログラム制作によるモータ制御
なお、各操作については、担当者の説明も参考にしてください。

機材の確認

機材

実習では以下のものを使用します。


H8trainセット

H8train H8train
H8train H8train
実習用 H8trainボード
H8trainセットを簡単に説明します。

H8trainボード本体はAKI-H8ボードの入出力ピンをポートごとにグループ分けして統一的なピン配置に変換する、変換基板の一種です。 これに電源回路と書き込み切り替えスイッチを搭載しました。
AKI-H8基板の配列はほぼ番号順とはいえポートごとのピン配列に統一性がないのですが、本ボードでは、H8/3052の各ポートごとに10ピンの接続端子を設けました(ポート9のみ未サポート)。 各端子は、1〜8がH8のポートの端子のビット0〜7そのもの(7までないこともあります)、9がGND、10が5Vで統一してあります。 基本的に直結で、保護回路などはありませんので、使用には注意が必要です。

基板の一辺には端子以外の部品がついています。 2個あるスイッチのうち、中央は電源スイッチ、端はH8へのプログラム書き込みモードスイッチです。 ともに、基板外側方向に倒してあるときOFF、内側に倒している場合にONです。 書き込みスイッチは不用意に操作しないように気をつけてください。
2個のLEDのうち、赤は電源ONを、黄色は書込モードを示します。 通常は赤のみ点灯です。
スイッチの間の端子は各ポートと同じ10ピンの端子ですが、他と異なり、パソコンとの通信専用です。 ボードとセットの通信ケーブルを接続し、そのDサブ9ピンのコネクタを、パソコンのシリアルポートと接続してください。


H8train option H8train option
H8train option
H8train option
H8train option
H8train option
H8train用入出力オプション
実習には入出力オプションをH8trainにドッキングさせて使用します。
オプションは主に3種類あります。 右の写真で上の二つがLED基板、下の二つが端子基板、下の方の細長い写真がバッファ基板です。LED基板、端子基板はそれぞれ2種類あります。 ともに、基板裏側の端にH8trainボードの端子に接続するための10ピンのヘッダソケット、基板上面にカスケード接続するためのピンがあります。 H8trainの使用したいポートの端子に、ずれないように接続します。

LED基板には、黄色のLEDが使用されたHigh-active基板と、緑のLEDが搭載されたLow-active基板があります。 前者は、普通に端子にHighレベルが出力されたときに点灯し、後者はLowレベルになったときに点灯します。
ともに、赤いLEDがビット0、最下位ビットを表し、8ビット分を表示します。 ジグザグに並んでいますが、上下は無視して、横方向で0〜7で並んでいます。
※比較的高輝度のLEDを使用していますが、指向角が狭いため、横方向からの視認性があまり良くありません。上に薄手の紙(トレーシングペーパー)やビニールシートを置くと視認性が改善します。

端子基板には、プルアップ型とプルダウン型、およびオープン型があります(写真は前2者)。 赤い集合抵抗の位置を見て、端子よりに部品がささっていない空きピンがあるものはプルアップ型、端子より遠いほうに空きピンがあるものはプルダウン型です。(オープン型は集合抵抗がありません。)
入力端子として使用したときに、なにも入力がないとき(未接続時)に、当該ポートを読み込んだときに1になるか0になるかが変わります。出力時は関係ありません(DAは影響を受ける)。
ともに基板上には10個のテスト端子があります。 両端に独立した赤黒の2個は電源端子です。 オシロスコープのGNDは黒に接続してください(ただし、おそらくプローブのケーブルを直接接続すると重すぎる)。 そのほか外部に接続するものに電源が必要な場合、これを使用してください(ショートなどに注意)。
その中間に並んだ8個の端子は、ポートのビット0(最下位)〜7(最上位)に接続されています。 テストピンのカラーは抵抗のカラーコード色になっています。

バッファ基板は今回は使いません。 入力信号の性質が悪い(インピーダンスが高い、ノイズが多いなど)場合や、外部回路の性質が悪い(入力インピーダンスが低い、ショートの可能性ありなど)場合に間に挟みます。

そのほかに通信ケーブルが付属します。
これはただのコネクタ変換ケーブルで、H8trainのCN6コネクタから、パソコンなどのシリアルポートで使用されるDサブ9ピンコネクタに変換します。 このコネクタから、ストレートケーブルでパソコンのシリアルポートに接続してください。
なお、コネクタ部にある赤いスイッチはH8/3052のリセットスイッチです。 リセットが必要なとき、電源をOFF/ONしなくとも済みますが、机などに不要に当たらないように気をつけてください。


マイコンボードの用意

マイコンボードの組み立て

マイコンボードは、ボードのキット付属の説明書に従って組み立てます。
基本的には完成品ですので、付属のヘッダピン(2x40)を切断して40pin(2x20)を2本、20pin(2x10)、10pin(2x5)をつくり、半田付けするのみです。

製作上の留意点を以下にあげます。


動作の確認

  1. まず、AKI-H8を搭載せず、電源をH8trainに接続して、電源を入れたときに赤LEDが点灯することを確認して下さい。 また、そのとき、端子基板を適当なポートに取り付け、5Vが得られることを確認してください。
  2. 一度電源を切り、H8trainにピンがずれていないことを確認して、ボードを取り付けてください。
  3. 電源をいれて赤LEDが点灯し、へんな臭いがしないか、H8のチップに触れてみて、加熱していないことをすぐに確認してください。
  4. 書込スイッチを操作して黄色のLEDが点灯・消灯することを確認してください。
    (AKI-H8側の電源が正常ならそのように動作)

プログラムの書き込み試験

H8WriteTurbo まず、モニタを書き込んでみます。
書込にはH8WriteTurboを使用します。 H8WriteTurboはAKI-H8に付属のCDをパソコンにいれ、インストールを行うか、サポートソフトセットに展開済みのものを使用してください。 起動すると、右のような画面がでます。
デバイスはH8/3052F、通信ポートはH8trainを通信ケーブルで接続したポート、速度は115200bpsを選択してください。

H8trainの書込スイッチを書込側に倒して電源を入れ、その上で、mon3052n25.motファイルをドラッグ&ドロップします。 特に問題がなければソフトウエアを転送するという内容のダイアログが表示され、20秒弱で転送作業が終了します。
CPUが見つからないなどのエラーが表示された場合、書込LEDが点灯していることを確認して、電源のOFF/ONをして、再挑戦してみてください。
終了したら、書込スイッチをOFF側に戻しておいてください。



熊谷正朗 [→連絡]
東北学院大学 工学部 機械知能工学科 RDE
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