このページは 東北学院大学 工学部 機械知能工学科 3年生の「ロボット基礎工学」用のオンラインページ兼、講義ノート兼、講義立案兼、メモなどのページです。(すなわち常に工事中)
基本的にはこのページの内容に沿って講義を行っていきますが、だからといって、これに目を通したことで授業を休んだりサボったりしていい理由にはなりません。 逆に、このページをみることも義務づけはしません(が、うっかりここに書いてあるけど話忘れたことを試験に出す可能性は否定できず)。 講義を受ける前の予習や、講義内容の補填などに使ってください。 注意事項の詳細をまず確認してください。
講義をうけるにあたっては、板書よりも「話したこと」に注意を払ってください。
おそらく、板書することの多くはここにかいてありますが、脱線して話したことは書いてありませんので。
ロボットの工学です。
で、おわりにしてもまずいので、補足。
ロボットとされるものをつくって動かすには、さまざまな要素が必要とされます。
メカ、電子回路類、コンピュータソフトウエア類を設計し、実装するための技術と、どの情報をどう処理して、どうつかって仕事をさせるかという理論が大きな柱です。
そういったものをひっくるめた学問がロボット工学といえます。
ロボット工学分野は、ここ30年くらいの分野ですが、急速に発展を続け、関連学会がいくつもあるほどです。
そのため、その全部を扱うことは到底無理なので、この科目ではそのなかの基礎的な理論の部分を扱います。
上で「ロボットとされるもの」などと曖昧な表記をしているのにはわけがあります。 ロボットという単語の明確な定義は、いまのところ見当たらないのです。
ロボットの研究者が100人いれば、100の見解の違いがあるといわれるほど、ロボットとロボットじゃないものの境界はあいまいです。
一応、人間の機能を模したものといいますが、宇宙ロボットのように本来人間にない機能まであったりしますし、車輪移動ロボットは「移動」という観点からは人間を模していますが、ただの自動車はロボットかというとロボットじゃありません。
また、知能や自律的判断が必要とされていますが、工場であらかじめ教えられた通りにだけ動く(低級の)産業用ロボットにそれなりの判断力があるかといえば微妙です。
現在の分類では、ロボットはメカ+エレクトロニクス+コンピュータのメカトロニクスに含まれることが一般的ですが、非常に高機能な江戸時代のからくり人形はただのメカか、ロボットかなど(メカだと思ってますが、外国の方には面倒なので Japanese traditional robotとか説明(^^;)。
もっと分かりやすい?例では、モビルスーツ(ガンダム)やレイバー(パトレイバー)がロボットか単なる乗り物かという点ですら見解に相違があります(わたしはロボットだと思いますが、ロボットじゃないという方もいます)。
そういう最初が微妙に曖昧な話ですが、この講義では
ともあれ、この講義では、その中でも基礎的な、腕のロボットに関することと、車輪移動ロボットに関することを扱います。
講義でアンケート(35人くらい) | 県民大学で(50人くらい) | ||||
対 象 | ロボット | 非ロボット | ロボット | 非ロボット | |
アトム、ドラ | たくさん | 0 | 25 | 18 | |
ガンダム | たくさん | 1 | 12 | 33 | |
ハロ | たくさん | 0 | N.A. | ||
エヴァンゲリオン | 誰も知らなかった? | N.A. | |||
工場の産業ロボ | たくさん | 0 | 40 | 7 | |
からくり人形 | 25 | 1 | 9 | 33 | |
梵天丸 | 1 | 15 | 18 | 24 | |
乾燥付全自動洗濯機 | 7 | 5 | 20 | 21 | |
自動駐車機能付き車 | 4 | 4 | 20 | 18 |
細かいスケジュールは決まり次第講義情報に記載する予定です。
産業用ロボット、という解説でよく見掛けるような、人間の腕にも似たような形のロボット。
そもそも、manipulateという単語は「扱う」で、腕という意味はありませんが、先っちょのハンドでなにかをつかんで運んだり、さきっちょに溶接機をつけてあつかったりするので、manipulatorというと腕、という意味合いがついたものを思われます。
ちなみに、人間も腕と平衡感覚を鍛えれば、腕で(逆立で)歩くことができるように、ロボットのマニピュレータもちゃんとつくれば歩くことに使えます(語弊あり)。
歩行ロボットの脚と腕は本質的には違いはありません。
ただし、そもそも土台がしっかりしていない点や、想定するべき力、着地の度に衝撃(撃力)が発生すること、始点と終点だけではなく、途中の動かし方が大きな影響をおよぼす点など、実際には全くといっていいほど違います。
文字通り車輪で移動するロボットです。
脚移動にくらべて、不整地(平らでは無い面)への適応性以外では圧倒的に優位で、移動ロボットと言った場合は一般に車輪を使っています(一部にクローラ(=キャタピラ)なども使われる)。
産業上も多用されていて、
その利点として、効率がいいとか、電源を切っても倒れないなどの、物質的な面もいろいろありますが、なにより使う数式が少なくてすみます。
おおまかには
この講義の導入。
この講義で使用する線形代数の基本演算の復習。
そんなもん、知ってる、馬鹿にするなという場合は、気にしなくていいですが、某科目のことを考えると、やっておきます。
代表的なロボットである、マニピュレータ型(腕型)のロボットを設計し、解析し、動かすための数学的理論を扱います。
最低限、構造、座標変換、順逆運動学、静力学くらいまではやって余裕があれば動力学のさわり。
ちなみに、脚移動ロボット(歩行ロボット)は理論的にはこの範疇です。
産業上移動ロボットによくつかわれる、車輪移動についての、構造や移動の理論、制御方法などを扱います。
ロボットは理論だけでもつくれないので、より細かな技術的なことに踏み込んでお話しします。
という内容を予定しています。
また、ときどき、小テストやレポートなどを予定しています。
マニピュレータ
大抵は、土台になる部分(固定のことも移動のこともあり)があって、棒状の剛体の部材(リンク)がモータなどで駆動される関節(ジョイント)でつながった構造です。
土台の反対側である、具体的な作業を行う個所をエンドエフェクタといって、そこをいかに制御するかが課題です。
完全にリンクとジョイントが交互に現れ、線で書くと一本になる構造を直列リンク、リンクで輪ができるものを並列リンク型といい、構造だけではなく、計算などの面でもいろいろと違いがあります。
人間は一見直列に見えますが、関節を駆動する筋肉は何本も並列にはいっているため、並列型です。
車輪移動型ロボット
数式にわりと忠実に動くので、理論の勉強でそこそこ動かせるようになるとおもいます。
この講義では簡単な応用例も含めて扱いたいと思います。
熊谷正朗
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