Q:右の図において、抵抗R1=100.0, R2=200.0[Ω]とし、R3を以下の抵抗値としたときに、抵抗R2,R3の両端に発生する電圧を求めよ。
・R3=∞
・R3=200.0[Ω]
・R3=99800[Ω]
A:
○ R3=∞の場合:
無限大というのは、接続していないのと同じなので、この場合はR1,R2による分圧回路になります。
分圧比率は100:200なので、分圧の計算より
よって、2.000[V]となります。
なお、回路を流れる電流から求める場合、電流は 3/(100+200)=0.01[A]、よってE=0.01*200=2[V]となります。
○ R3=200.0[Ω]の場合:
まず、R2とR3の並列合成抵抗R23を求めます。
or
よって、R2,R3の合成抵抗は100.0[Ω]です。
この100.0[Ω]とR1=100.0[Ω]の分圧回路になります。
よって、1.500[V]となります。
○ R3=99800[Ω]の場合:
まず、R2とR3の並列合成抵抗R23を求めます。
よって、R2,R3の合成抵抗は199.6[Ω]です。
この199.6[Ω]とR1=100.0[Ω]の分圧回路になります。
よって、1.999[V](小数点以下3桁の指定)となります。
解説:
単純な計算ですが、R3の値の変化で電圧が変ることが確認できます。
講義のとき、「分圧」で、「後ろに電流が流れていかないような場合、後ろの抵抗値が十分大きい場合」に、適当な比率の電圧をつくることができると話しました。R3=∞は本当になにも無い理想状態で、100:200なので、2/3の2.0[V]になります。
しかし、後ろに、200[Ω]という、分圧回路を作るための抵抗に匹敵するようなものがぶら下がると、電圧が1.5[V]まで下がります。後ろの回路が純粋な抵抗なら、あらかじめ調整することもできますが、一般にはそう簡単ではありません。
で、ぶら下がる抵抗が 99800[Ω]、約千倍のときは、1.999[V]と、誤差が1/1000[V]程度に収まります。どのくらいの精度が必要かにもよりますが、一般に、電子回路の精度で0.1%というのは、かなり高い部類で、まあ、100倍もあれば、それほど困らない1%精度くらいにはなります。
さて、では、2番目のケースのように200[Ω]をつなぎたい場合、R1=1, R2=2[Ω]にすればいいのでしょうか?
その場合、R1,R2に流れる電流は1[A]ほどになります。常識的に考えたら、これはかなり無駄な電力です(熱になるだけ)。
そういうときにはまじめに回路をつくることになります(実質的に、出力2.0[V]の電源回路をつくることになる)。
Q:出力電圧Voが、入力電圧Viによって
と得られるような回路を設計せよ。その際、4[V]等の直流電源を使用してよい。
A:ヒントでしつこく「引いて増幅」と言っていたように、引く&増幅の回路を選択します。
ずばり、「差動増幅」回路を使うことができます。
右図において、R1=R3, R2=R4とすれば、
です。なので、R2(R4)/R1(R2)=10 にし、V2=4[V]とします。すると、
となるので、V_1をV_iとすればOKです。現実的には、R1=10[kΩ], R2=100[kΩ]程度に選定します。
ただし、要件として、回路図として完成させること、端子や「V1, V2」を残しておかないこと(あくまで入力をViとすること)を求めており、それに反した場合は減点、また、抵抗値としてR2の抵抗値が10kを大幅に下回る場合と極端に大きすぎる場合(100Mというケースがありました)は減点しています。そのほか、適当に移したような途中経過の見られないものも、減点対象としています(それも実施時に指示していたので)。
A2:別解1
加減算回路をつかうこともできます。が、オペアンプも2個になり、回路も面倒になるので、よい設計、ではなくなります。
A3:別解2
ただの反転増幅回路を使う方法もあります。
右図、反転増幅回路で、Vin+をGNDではなく、適当な電圧Vrにつなぐとします。
その際、仮想短絡により、
となります。これを解くと
となり、10倍にするには、Rf=10Riとします。
1.1Vr=4.0[V]になるような電源を用意すれば、目的の増幅ができます。
この方法は、
1:抵抗2本でできる
2:Vrはオペアンプ(-)端子のみにつながっている=電流は流れない(c.f.↑Aではただの差動増幅で電流が流れる)ので、可変抵抗で分圧した電圧でよい=簡単に調整可能な電圧
という特徴があり、案外、調整が前提なセンサ信号の処理とかで便利です。
ただ、あとで何の回路かわかりにくくなるので、注意が必要です。
よくみると、差動増幅回路のプラス側を固定したもの、とも見えます。
A4:別解3
以前のプチテストの解答の中にあった「理論上は可能な」方法です。
なので、「Viから4V引いて」「-10倍の反転増幅」することにして、
Vi--[-4V]--反転増幅(10倍)
と、-4Vの直流電圧源を直列に接続してしまいます。
回路図の上では可能ですが、この[4V]は増幅回路や入力される信号とはまったく独立して4Vを保つ必要があります。
たとえば、電池はそのような性質をもっていますが、ジャスト4Vの電池はありませんし、適当な電池を抵抗で分圧して使うわけにもいかず、実現は面倒です。そのため、一般的な用途の増幅回路では不適切な設計です。
(この目的ではありませんが、絶縁型電源回路、なるものをもちいて、電圧の下駄を履かせる、という手法自体は、特殊な用途には実用的に存在しています。)
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A:
入力のすべてのパターンに対して、Xがどうなるかを確認していくだけの問題です。
途中の配線にも適当な記号を付け、それらを入力から順に落ちついて追っていけば簡単に求まります。
ちなみに、これはNORをド・モルガンすると、NANDになることを示しています。
課題:
課題:
オペアンプを使った実用回路を雑誌、書籍、ネット等でひとつ探し、その回路図、機能を記載するとともに、これまでの講義をもとに、「可能な限り」解説してください。
※実用回路=反転増幅などの要素ではなく、○○を△△する回路、など意味のある回路。
NG例)電圧を増幅する回路 OK例)○○センサをマイコンにつなぐ回路
※どんな回路でもかまいませんが、自分でわかりそうな範囲&この紙両面で収まるくらい。
※講義で扱った回路、講義ノートページの回路は禁止(書いてきたら減点)
※コピー貼り付け不可、印刷は可
注意:講義で配布した専用用紙のみ使用可能とする。それ以外の用紙は受け付けない。